WBC日本 1次ラウンドから全勝優勝 MVPは大谷翔平

野球のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックは21日、アメリカ・フロリダ州の「ローンデポ・パーク」で日本とアメリカの決勝が行われ、日本が3対2で勝って3大会ぶり3回目の優勝を果たしました。

また今大会のMVP=最優秀選手には日本の大谷翔平選手が選ばれました。日本からMVPが選ばれるのは、第1回と第2回大会で選出された松坂大輔さん以来となります。

2回にソロホームランで先制された日本はそのウラ、準決勝でサヨナラ勝ちに貢献した先頭の5番村上宗隆選手が初球のストレートを捉え、ソロホームランで同点に追いつくと、その後、満塁のチャンスを作って1番ヌートバー選手の内野ゴロの間にランナーがかえり1点を追加して勝ち越しました。

また4回ウラに、先頭の岡本和真選手がスライダーを捉えてソロホームランを打って1点を追加しリードを2点に広げました。

8回には6人目でダルビッシュ有投手がマウンドに上がり、ワンアウトから5番のシュワーバー選手にホームランを打たれて1点差に迫られました。

そして9回には、大谷翔平選手がマウンドに上がり先頭をフォアボールで出しましたが、1番のベッツ選手をダブルプレーに打ち取りました。そしてエンジェルスのチームメート、2番トラウト選手との対戦となりましたが、フルカウントから最後はスライダーで空振り三振を奪って3対2で勝ちました。この結果、日本は3大会ぶり3回目の優勝を果たしました。

MVPは投打に活躍した大谷翔平

今大会のMVP=最優秀選手には日本の大谷翔平選手が選ばれました。大谷選手は、1次ラウンドの中国戦と、準々決勝のイタリア戦でピッチャーとして2勝をあげたほか、バッターとしても1次ラウンドのオーストラリア戦で、東京ドームの看板を直撃するスリーランホームランを打つなど3番として打線を引っ張りました。今大会のMVP=最優秀選手には日本の大谷翔平選手が選ばれました。日本からMVPが選ばれるのは、第1回と第2回大会で選出された松坂大輔さん以来となります。

《選手・監督談話》

MVP 大谷翔平「最後緊張したがなんとか抑えられてよかった」

「優勝を夢みていたので本当にうれしい。粘り強く、最後の最後まで諦めずに監督を優勝させることができてよかった」と喜びを語りました。9回にマウンドに上がったことについては「点差によっては多少変わると思っていたが、接戦のいいゲームで最後緊張をしたがなんとか抑えられてよかった」と振り返っていました。また最後のバッターが大リーグ、エンジェルスのチームメート、2番トラウト選手だったことについては「1アウト、2アウトと取れば最後トラウトだと思っていたが、先頭バッターを出してしまったので、最後対戦できないなと思っていた。ただ、ダブルプレーを取れたので、最高の形で打席を迎えられて、最高の結果になった」と話しました。この試合で代表チームでの試合が終わることについては「正直終わるのが寂しいような気持ちもあるし、みんなもそうだと思うがまたそれぞれのチームに帰ってシーズンに備えて頑張りたい」と話しました。

2回に同点ソロ 村上宗隆「すごくいいゲームができた」

「最高です。1点を取られたあとですぐに追いつきたい展開だったので、ひと振りで追いつけてよかった。完璧だった」と話していました。そして優勝した瞬間の気持ちについて「実感はわかないが、アメリカもスターぞろいで強かったし、そこに立ち向かえていけたので、すごくいいゲームができた。目標としていた世界一になれたのですごくうれしい」と喜びを表現しました。そのうえで「なかなかこういう経験はできないので、なんとか1つでも2つでも経験値にしたい思って合宿から臨んでいたし、すごくいい経験ができた」と日本代表での経験を振り返りました。そして「終わってみたらうれしい気持ちもあるが、悔しい気持ちもあるので、また1つ自分自身、レベルアップができるように頑張りたい」とさらなる成長を誓いました。

チームけん引 ダルビッシュ「宮崎からたくさんの応援 感謝」

「本当に感無量というかそういう感じで、すごく気持ちよかった。すばらしい瞬間で本当にうれしい」と率直な思いを話しました。前回優勝したときとの気持ちの違いを問われると「前回の感情をあまり覚えていないのでわからないが、本当にすごく興奮した」と話していました。そして、チームでの活動を振り返って「最初は堅いというか若干気負っているところもあったが、だんだん楽しみながら、日常生活も野球もしていた。とにかく楽しく野球をしているところをファンの方に見てもらうのが大事だと思っていたので、それプラス結果がついてきたのでよかった」と振り返っていました。そして、8回にリリーフで登板した場面については「ずっと先発をしていて慣れないので、ルーティンとかがすごく難しくて、なかなかうまくいかなかったがまだ1点のリードがあったし、そこは気持ちを楽にいった」と当時の心境を明かしました。最後にファンに向けて「本当に宮崎からたくさんのファンに来てもらい大会が始まってからもすごく応援してもらったので本当に感謝している。これからシーズンが始まるが、同じように声援を送っていただきたい」と感謝の気持ちを話しました。

ヌートバー 日本語で「日本大好き。みんなありがとう」

「言葉にできないし、チームに入れて光栄だ。本当に感謝している。人生で一番最高の決断をしたと思う。ダルビッシュ有選手にも感謝しているし、すべてに対して感謝している。本当に最高です」と率直な思いを話しました。そして、応援してくれたファンに向けては日本語で「日本大好き。みんなありがとう」と感謝の気持ちを口にしました。また、母親の久美子さんは「本当に最初は信じられなかったが、皆さんに温かく受け入れてもらって、最高のチームだった。感動しかない。日本のファンの皆さんもありがとうございました」と話していました。

佐々木朗希「最高のチームメイトに恵まれました」

「最高です。隙のない本当にみんな力のあるいいチームだったと思います。自分としては準決勝で点を取られたり苦しい中だったんですけど、最高のチームメイトに恵まれました」と振り返りました。そして「東京ドームの試合からたくさん応援してもらって本当に力になりました。ありがとうございました」と日本のファンへの感謝を口にしました。

《投手成績》

(日)○今永昇太 左/左 2回 4安打2三振 自責点1
   戸郷翔征 右/右 2回0安打2三振 自責点0
   高橋宏斗 右/右 1回 2安打2三振 自責点0
   伊藤大海 右/左 1回0安打1三振 自責点0
   大勢  右/右 1回1安打0三振 自責点0
   ダルビッシュ有 右/右 1回2安打 0三振自責点1
   S大谷 翔平 右/左大谷 1回 0安打1三振 自責点0
(米)●ケリー 右/右 1回1/3 3安打 自責点2
   ループ 左/左 2/3回 0安打0三振 自責点0
   フリーランド 左/左 3回1安打2三振 自責点1
   アダム 右/右 1回0安打2三振 自責点0
   ベッドナー 右/左 1回1安打0三振 自責点0
   ウィリアムズ 右/右 1回0安打2三振 自責点0

《日本 各打席成績》

【打撃成績】   1回 2回 3回 4回
1(中)ヌートバー|左飛|一ゴ|--|--
2(右)近藤健介 |遊ゴ|中飛|--|--
3(投)大谷翔平 |四球|--|見K|--
4(左)吉田正尚 |見K|--|四球|--
5(三)村上宗隆 |--|HR1|二併|--
6(一)岡本和真 |--|右安|--|HR1
7(二)山田哲人 |--|右飛|--|右飛
8(遊)源田壮亮 |--|左安|--|空K
9(捕)中村悠平 |--|四球|--|三ゴ
※空K=空振り三振 見K=見逃し三振

    5回 6回 7回 8回  
1ヌー|右飛|右飛|--|--|.269 
2近藤|四球|--|三飛|--|.346  
3大谷|二ゴ|--|遊安|--|.435 
4吉田|投ゴ|--|三併|--|.409  
5村上|--|空K|--|空K|.231  
6岡本|--|空K|--|空K|.333  
7山田|--|四球|--|四球|.267  
8源田|--|四球|--|三ゴ|.250  
9中村|--|四球|--|  |.429
-------------------
                .299
盗塁:山田(6回・8回)

《試合経過》

両チーム先発メンバー

日本 前日から野手は変更なし

※成績は準決勝まで
1(中)ヌートバー右/左.318(22-7) 0本3点盗2
2(右)近藤健介 右/左.391(23-9) 1本5点
3(指)大谷翔平 右/左.450(20-9) 1本8点盗1
4(左)吉田正尚 右/左.474(19-9) 2本13点
5(三)村上宗隆 右/左.227(22-5) 0本5点
6(一)岡本和真 右/右.286(14-4) 1本6点
7(二)山田哲人 右/右.308(13-4) 0本2点盗1
8(遊)源田壮亮 右/左.222(9-2) 0本2点盗2
9(捕)中村悠平 右/右.500(6-3) 0本1点
(投)今永昇太 左/左 2試合4回 3安打5三振 防2.25

アメリカ 好調のターナーは9番から6番に

※成績は準決勝まで
1(右)ベッツ      右/右.296(27-8)0本1点
2(中)トラウト     右/右.318(22-7)1本7点盗1
3(一)ゴールドシュミット右/右.333(21-7)1本5点
4(三)アレナド     右/右.391(23-9)0本5点
5(指)シュワーバー   右/左.182(11-2)1本3点
6(遊)ターナー     右/右.368(19-7)4本10点
7(捕)リアルミュート  右/右.625(8-5) 0本2点
8(左)マリンズ     左/左.333(6-2) 1本2点
9(二)アンダーソン   右/右.313(16-5)0本5点盗1
(投)ケリー  右/右 1試合3回 4安打1三振 防6.00

8:00前 現地の気温は24度

現地の気象当局によりますと日本時間午前8時前、現地時間の午後7時前のマイアミの気温は24度、湿度は60%だということです。

大リーグ機構もSNSで“同僚対決”を紹介

大リーグ機構は、試合前に投稿したツイッターで「大谷対トラウト、絶対に究極で完璧なエンディング」と投稿し、大リーグのエンジェルスでチームメートのスター選手2人の対戦がWBC決勝の舞台で実現したことをアピールしています。別の投稿では大谷選手とトラウト選手が向かい合った画像とともに「最近の記憶の中で最も期待されている試合の1つだ」と添えて投稿し、試合を盛り上げています。

8:02 日米両チームが入場 先頭は大谷とトラウト

日本とアメリカの決勝を前に両チームの選手たちがスタジアムに入り、観客から大きな声援が送られました。大リーグ・エンジェルスでチームメートの大谷翔平選手とトラウト選手が、それぞれの代表選手たちの先頭に立ち国旗を持って入場しました。

8:25 試合開始

先攻はアメリカ、後攻が日本です。先発ピッチャーの今永投手は先頭バッターのベッツ選手をライトフライに打ち取りました。

【1回表】今永 1安打打たれるも9球でアウト3つ

今永投手は、1番ベッツ選手をライトフライに打ち取りました。続く2番トラウト選手には変化球をライト前に運ばれツーベースヒットとされました。3番ゴールドシュミット選手はチェンジアップで空振り三振。4番アレナド選手はファーストゴロに打ち取り、上々の立ち上がりを見せました。この回の球数は9球でした。決勝の球数制限は95球です。

【1回ウラ】日本は大谷がチーム初出塁 スタンドから応援歌も

日本はアメリカの先発、ケリー投手に対し、ヌートバー選手がレフトフライ、近藤選手はチェンジアップを打ってショートゴロでした。ツーアウトから3番の大谷選手はフォアボールで出塁しましたが、4番の吉田選手はアウトコースのストレートで見逃し三振でした。吉田選手は今大会7試合目で初の三振です。先頭から日本は左バッターが続く中、アメリカは右寄りの守備シフトを敷いて守っています。

【2回表】日本0-1★アメリカ 好調ターナーがソロHR

今永投手は、5番シュワーバー選手を変化球でライトフライとしました。しかし、今大会ここまでホームラン4本と好調の6番ターナー選手に、レフトスタンドへのソロホームランを打たれて、先制されました。続くリアルミュート選手には速球を捉えられレフト前ヒット。8番マリンズ選手はアウトコースの速球で見逃し三振としましたが、9番アンダーソン選手にはカーブを打たれてセンター前ヒットとされました。一塁二塁のピンチで1番ベッツ選手を迎え、スライダーでレフトフライに打ち取り、1失点でしのぎました。ここまでの球数は30球です。

ターナー選手は今大会のホームラン数を5本に伸ばし、2006年の第1回大会でプロ野球の巨人やロッテで活躍した韓国のイ・スンヨプさんが持っていた大会記録に並びました。

【2回ウラ】日本★2-1アメリカ 日本がこの回勝ち越し

この回先頭の村上選手が、初球のストレートを捉えソロホームランで同点に追いつきました。村上選手はこれが今大会初ホームランです。村上選手の今大会1号のホームランは、飛距離が131.6メートルの大きな当たりでライトスタンドの2階席に届きました。真ん中に入った148キロのストレートを完璧に捉えました。

このあと6番の岡本選手が4球目の変化球を打ってライト前ヒット、山田選手はライトフライに打ち取られましたが、源田選手がレフト前ヒットを打ってワンアウト一塁二塁のチャンスを作りさらに中村選手がフォアボールを選んで満塁としました。ここでアメリカはピッチャーをサウスポーのループ投手に代えましたが日本は1番のヌートバ-選手の内野ゴロの間に1点を勝ち越しました。その後、ツーアウト二塁三塁とチャンスが続きましたが、2番の近藤選手はセンターフライに打ち取られました。

【3回表】日本 今永→戸郷にスイッチ 無失点

日本は先発の今永投手から戸郷投手に交代しました。戸郷投手は1次ラウンドの中国戦以来の登板です。2番トラウト選手は、フォークボールを低めに決め空振り三振、3番ゴールドシュミット選手はレフトフライに打ち取り、ツーアウトを取りました。4番アレナド選手と5番シュワーバー選手には連続でフォアボールを与えましたが、前の打席でホームランを打った6番ターナー選手からフォークボールで空振り三振を奪い、無失点で切り抜けました。この回の球数は22球です。

【3回ウラ】日本は大谷からの打順も無得点

アメリカはこの回からサウスポーのフリーランド投手が登板。日本は先頭の大谷選手がスライダーを見逃し三振。続く吉田選手はフォアボールで出塁しましたが、前の打席、ホームランの村上選手が変化球を打ってダブルプレーに打ち取られました。

【4回表】2イニング目の戸郷 三者凡退に抑える

2イニング目に入った戸郷投手は7番リアルミュート選手をインコースの速球で詰まらせショートライナー。8番マリンズ選手はレフトライナー、9番アンダーソン選手はスライダーでライトフライに打ち取り、無失点で抑えました。アメリカ打線を3人で抑えたのはこのイニングが初めてです。戸郷投手の球数はここまで35球です。

【4回ウラ】日本★3-1アメリカ 岡本変化球捉えソロで追加点

日本は先頭の岡本選手がスライダーを捉え、ソロホームランで追加点を奪いました。岡本選手のホームランは今大会2本目です。続く7番の山田選手はライトフライ、8番の源田選手は空振り三振、9番の中村選手はサードゴロに打ち取られました。

【5回表】日本 走者2人出すも無失点で切り抜ける

日本はピッチャーを戸郷投手から高橋宏斗投手に交代しました。高橋投手は1次ラウンドの韓国戦とオーストラリア戦に続く3試合目の登板です。1番ベッツ選手は高くバウンドしたサードゴロで、いったんはアウトと判定されましたが、リプレー検証の結果、内野安打になりました。2番トラウト選手は低めの変化球で空振り三振、3番ゴールドシュミット選手は156キロの速球で見逃し三振を奪い、ツーアウトとしました。4番アレナド選手にはレフト前ヒットを打たれましたが5番シュワーバー選手にはスリーボールから速球を投げ込んでセンターフライに打ち取り無失点で抑えました。この5回表の終了後、ダルビッシュ投手がブルペンに向かいました。

【5回ウラ】日本は近藤が出塁も無得点

先頭のヌートバ-選手はライトフライに打ち取られましたが、2番の近藤選手はフォアボールで出塁しました。1アウト一塁として大谷選手が一二塁間に力のある打球を打ちましたが、相手のシフトの網にかかりセカンドゴロとなりました。ツーアウト二塁のチャンスとなりましたが、吉田選手はピッチャーゴロで得点を奪えませんでした。

【6回表】伊藤大海が完璧リリーフで無失点

6回表が始まる前に大谷選手がブルペンに入りました。日本はピッチャーが伊藤投手に交代しました。伊藤投手は1次ラウンドの中国戦、準々決勝のイタリア戦に続き3試合目の登板です。6番のターナー選手はアウトコースのスライダーを打たせてレフトフライ、7番リアルミュート選手はサードゴロ、8番マリンズ選手は151キロのストレートで空振り三振を奪い、ガッツポーズを見せました。

【6回ウラ】日本 ニ死満塁のチャンス迎えるも得点ならず

アメリカはこの回から4人目のアダム投手が登板。先頭の村上選手と6番の岡本選手は空振り三振でしたが、ツーアウトから山田選手がフォアボールを選びました。2アウト一塁として源田選手の打席の初球に山田選手が盗塁を決めて得点圏に進み、源田選手と続く中村選手が連続でフォアボールを選んでツーアウト満塁としました。中村選手の打席の前にはブルペンで待機していた大谷選手が打順が近づいて来たためベンチに戻るシーンがありました。2アウト満塁のチャンスでしたが1番のヌートバー選手がライトフライに打ち取られ、得点を奪えませんでした。

【7回表】日本 無死一、二塁のピンチ切り抜け無失点

日本は伊藤投手に代わり、5人目として大勢投手をマウンドに送りました。大勢投手は今大会4試合目の登板で、準決勝のメキシコ戦に続く連投です。先頭の代打・マクニール選手はフォアボール、1番・ベッツ選手はレフト前ヒットでノーアウト一塁二塁とされました。しかし、2番のトラウト選手は詰まらせてライトフライ、3番ゴールドシュミット選手はショートゴロのダブルプレーで、ピンチをしのぎました。

【7回ウラ】大谷出塁も得点ならず その後またブルペンへ

アメリカはこの回から5人目のベドナー投手が登板しました。先頭の近藤選手はサードフライでしたが、続く、大谷選手は一二塁間へのゴロがショートへの内野安打となり出塁しました。しかし吉田選手は変化球でダブルプレーに打ち取られました。

“きょう1日だけは彼らへの憧れを捨てて勝つことだけ考えて”

日本代表の公式ツイッターは決勝の試合直前の日本チームのクラブハウスの様子を公開し、この中で栗山英樹監督が大谷選手に円陣での声出しを指名しました。指名を受けた大谷選手は「僕から1個だけ、憧れるのはやめましょう。ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見たらトラウトもいる、ライトにベッツがいたり、野球をやっていれば誰もが聞いた選手たちがいると思うが、きょう1日だけはやっぱり憧れてしまったら超えられない。僕らはきょう超えるために、トップになるために来たので、きょう1日だけは彼らへの憧れを捨てて勝つことだけ考えていきましょう。さあ行こう!」と声をかけると、チームメートも大きな拍手でこれに応え、試合へと向かいました。

【8回表】日本3-★2アメリカ ダルビッシュ登板も1点差に

日本は大勢投手に代えて、6人目としてダルビッシュ投手をマウンドへ送りました。ダルビッシュ投手は1次ラウンドの韓国戦は先発して3回3失点、準々決勝のイタリア戦はリリーフで2回1失点でした。

ダルビッシュ投手は先頭のアレナド選手をセンターフライで打ち取りましたが、5番シュワーバー選手にファウルで粘られたすえにライトスタンドへのソロホームランを打たれました。さらに6番ターナー選手にセンター前ヒットを打たれましたが7番・リアルミュート選手をショートフライ、8番マリンズをセンターフライに打ち取り、リードを守りました。大谷選手は7回ウラの攻撃を終えたあと、ブルペンに入り投球練習を行っています。

【8回ウラ】日本 無得点で9回へ

アメリカはこの回から6人目のウィリアムズ投手が登板しました。先頭の村上選手、6番の岡本選手はウィリアムズ投手が得意とするチェンジアップに空振り三振。ツーアウトから山田選手がフォアボールで出塁し、8番の源田選手の打席の2球目に盗塁を決めました。ツーアウト二塁とチャンスを作りましたが、源田選手はサードゴロに打ち取られました。

【9回表】大谷翔平登板 最後はトラウトを三振で試合終了

1点リードの日本はダルビッシュ投手に代えて、7人目として3番指名打者で出場していた大谷選手をマウンドへ送りました。「大谷ルール」が大リーグに導入された昨シーズン以降、大谷選手は先発投手と指名打者を兼ねて出場し、マウンドを降りたあともバッターとしてそのまま試合に出場してきましたが、試合途中に指名打者を解除して登板するのは初めてで、WBCでも史上初めてです。

9番マクニール選手はフルカウントから際どいコースにストレートを投げ込みましたがフォアボールで出塁を許しました。続く1番ベッツ選手はセカンドゴロでダブルプレーに打ち取り、ツーアウトとしました。そして、迎えた大リーグ、エンジェルスでチームメートの2番トラウト選手との勝負。1球目はスライダーでボール、2球目は160キロのストレートで空振り、3球目は160キロのストレートでボール、4球目は160キロのストレートで空振り、5球目は164キロのストレートが外れてボール、そして6球目はアウトコースのスライダーで空振り三振を奪いました。大谷選手は帽子とグローブを投げ捨て喜びを表現しました。日本は3大会ぶり3回目の優勝です。

《表彰式・シャンパンファイト》

日本の選手や監督ら全員にメダル

決勝のあとの表彰式では、日本の栗山監督やコーチのほか、大谷翔平選手やダルビッシュ有投手など選手全員に金メダルが贈られました。このうち、村上宗隆選手は、けがのために出場を辞退した鈴木誠也選手の背番号51のユニフォームを、大勢投手が栗林良吏投手の背番号20のユニフォームを持ってメダルを首からかけられていました。

大谷が優勝トロフィー掲げる

表彰式の終わりには栗山監督やコーチ、選手たちがセカンドベース付近にあるお立ち台に集まり、大谷選手が優勝トロフィーを掲げました。

栗山監督は10回 胴上げ

日本の選手たちはマウンドの後方で栗山監督を10回胴上げしました。さらにチームをまとめてきた最年長のダルビッシュ投手を3回胴上げしました。そして大谷選手とヌートバー選手も3回ずつ胴上げして、喜びを分かち合いました。

甲子園球場でも場内ビジョンに祝福メッセージ

WBCで日本が優勝したことを受けてセンバツ高校野球が行われている甲子園球場では場内のビジョンに「世界一おめでとう!」などと祝福のメッセージが出され、観客から拍手が沸き起こりました。

13:00 “シャンパンファイト”で喜び爆発

世界一を祝うシャンパンファイトは、球場内で行われ、栗山監督や選手たちは優勝を記念して作られたTシャツを着て参加しました。そして、栗山監督がひと声かけると選手たちは一斉にシャンパンファイトをスタートして、喜びを爆発させていました。

吉田「一生の仲間」ダルビッシュ「感無量」監督「最高の侍」

シャンパンファイトが行われる中、吉田正尚選手は「終わってしまって早かった。優勝できて最高ですし、このチームメートは一生の仲間です」と笑顔で話してました。またダルビッシュ有投手は「感無量です。このチームはチームワークも最高でした」と振り返っていました。そして栗山英樹監督は、「みんなが喜んでよかった。ファンが野球すごいなと思ってくれたら。最後のユニフォーム姿になると思うので最高だ。これ以上にない、最高の侍です」と話していました。

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