日米豪印「クアッド」首脳会談、ウクライナ戦争や中国への懸念に言及
日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4カ国からなる「クアッド」は24日、東京で首脳会談(サミット)を行った。新型コロナウイルスのパンデミックやウクライナでの戦争で世界が揺らぐ中、「自由で開かれたインド太平洋への揺るがないコミットメント」を共同声明で表明した。
アメリカのジョー・バイデン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻によって世界は「共有する歴史において暗い時代を生きている」と語った。その上で、国際秩序を守る重要性が増していると述べた。
日本の岸田文雄首相もこれに呼応し、アジアで同様の侵攻があってはならないと述べた。
クアッド首脳会談は、バイデン大統領の就任後初の訪日に合わせて開催された。バイデン氏、岸田首相、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相、インドのナレンドラ・モディ首相が出席した。
会談では、中国のインド太平洋地域での影響力拡大などを含む安全保障や経済上の懸念が話し合われた。一方で、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる意見の不一致も見られた。
バイデン氏は23日の岸田首相との共同記者会見でも、中国が台湾をめぐって「危険をもてあそんでいる」と警告するとともに、台湾が攻撃された場合は防衛のために軍事介入すると明言した。
これは、アメリカの長年の政策と矛盾する方針のようにみえるが、ホワイトハウスは、これまでの政策から離れたわけではないと主張した。
クアッドとは? なぜ中国を懸念?
「クアッド」(Quad)は、「Quadrilateral Security Dialogue(4カ国安全保障対話)」の略。2004年のスマトラ島沖大地震で津波が発生したことを受け、協力して人道・災害支援を行ったことがきっかけで始まった。その後、有名無実化していたが、2017年後半に復活した。
それから2年もたっていないが、4カ国の首脳が集ったのは今回で4回目となった。昨年9月に米ワシントンでサミットを開催したほか、バーチャル会議を2回行っている。
アナリストらは、ここ数年で、クアッド各国と中国との二国間関係が徐々に低下していることが、このグループに弾みをつけているようだとみている。
中国は、インド洋や南シナ海で複数の国と海洋紛争を抱えているほか、インドとは国境で争っている。そのためこの地域では、自己主張を強める中国への不快感が高まっている。
オーストラリアは、中国政府の海軍強化のための多額の投資や、ソロモン諸島と安全保障協定に懸念を示している。日本は、領海内への中国海軍の日常的な「侵入」に警戒を強めている。
バイデン大統領は23日、アジア太平洋地域の成長促進を目的とした、アメリカ主導の「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を発表。これにはクアッドの3カ国を含む、アジアを中心とした13カ国が参加している。
アメリカのジーナ・レモンド商務長官は、IPEFについて、「中国のアプローチの代わりとなるもの」を提供すると説明。貿易、サプライチェーン、クリーンエネルギー、インフラ、税務、腐敗防止などの分野で基準を設けるという。
アメリカはドナルド・トランプ前政権時代の2017年、地域貿易協定である環太平洋パートナーシップ(TPP)から突然離脱した。IPEFは、アメリカがインド太平洋に再関与するための方策と広く受け止められている。
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